癒しの音楽は今いずこ? その1
ファイル#16 曲名:天国の荒野 Heaven Heath (A.Williams)
ファイル#17 曲名:羊の季節 Sheep Season (Simonds / A.Williams / D.Williams)
ファイル#18 曲名:シルヴァーソング Silversong (Simonds)
抱擁の歌 / メロウ・キャンドル に収録
1988年、アイルランド出身の歌手エンヤが発表したアルバム『ウォーターマーク』の大ヒットで、「癒しの音楽」「ヒーリング ミュージック」が全国的にちょっとしたブームとなった。「ストレス発散できるCD」や「リラックス効果抜群のCD」とかがCD販売店のコーナーに並び、多くの音楽雑誌の特集にも組まれるようにもなっていた。そして、ある雑誌の特集のなかで「英フォークの三美神」と呼ばれる三枚のアルバムが、「最高の癒し音楽」として評されていた。今回はその中の一枚、メロウ・キャンドルの『抱擁の歌』を紹介させていただきます。
このアルバム、先ずは一曲目の「天国の荒野」と二曲目の「羊の季節」をセットとして聴くべし。 おおーこれはまるでゼップの超名曲「天国への階段」ではないかいな(両曲とも曲名に “天国” がついてるし)。だが、あちらは野郎一人で歌っているがこっちはダブル・フィメールや、美しさではこっちに軍配が上がるでぇー。そして、「天国への階段」の後半の演奏は【びくともしない巨大な岩石(ROCK)】を想起させるが、対照的に「羊の季節」の後半はまるで【触れば砕けそうな水晶】のようやな。メロトロンの使い方もキン・クリの「エピタフ」に匹敵するほど効果的や。次に、三曲目の「シルヴァーソング 」を聴く。ゆったりとしたテンポの曲で、なんや寂(さび)のはっきりしないちょっち退屈な曲やなぁ~て思いながら聴いていたが…。どっこい最後の一文 “they’ll sell my Silversonng for tears(彼等は涙のかわりに私のシルヴァーソングを売るんだわ)”を聴いた途端、なんやわからん不思議な感覚にとらわれるやないかいな。そうまるで “人の生命(いのち)の儚さ” を表現したような音色に包まれるような…。この感覚をあじわいたくて、また最初から聴きたくなってしまいまする。
この三曲を聴いて、癒される?かどうかは分かりはしませんが、これだけは確かです。“真に美しい音楽” が、間違いなくここには在る‼