名曲⇒名画❔ ボブ・ディランの“愛の歌”

ファイル#5 曲名: Sara 
作詞,作曲:ボブ・ディラン
欲望 に収録

ボブ・ディランを初めて聞く人に、おすすめの曲は何(・・? と聞かれたら大抵のディラン・フリークの方達は、反戦歌の「風に吹かれて」プロテストソングの「時代は変わる」全米2位まであがり多くのミュージシャンにも影響を与えた「ライク・ア・ローリング・ストーン」あるいは映画のサントラに使われた感動的な「天国への扉」等々彼自身のベスト盤にも間違いなく入っているであろう曲を勧めると思われる。確かにこれらの曲は疑い様のない名曲であり、ディランを知るには欠かせない曲である。1975年発表『欲望』の最後の曲である「Sara」は、現在発売されているどのベスト盤にも入ってはいない が、“美しい”曲である。

曲の始め…“砂丘にねころび空を見上げていた”そばにはバケツ遊びをする自分のこどもたち、近くには彼女(Sara)が…幸せで顔も微笑んでいるディランが見える。曲の終わり…“砂浜には人気もなくコンブがうちあげられているだけ”…哀しい眼で砂浜をうつろに眺めているディランが見える。この曲を聴く者の脳裏に1つの風景(砂浜に佇み寂しい目で海岸を見ているディラン)が、1枚の絵画のように映る。そしてスカーレット・リヴェラが奏でるエーゲ海を想起させるヴァイオリンの音色も同調し、1つの曲が1枚の絵画へと変貌する。「Sara」は、絵画的“美しさ”をもつ名曲である。この名曲がベスト盤に入らないのは、詩の内容があまりにも私的なものであるからディラン自身が承諾していないのだろうか❔

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