星座と恋文とマッチ売りの少女

ファイル#11 曲名:星のふる郷 
作詞:松本隆/あがた森魚 作曲:あがた森魚
噫無情(レ・ミゼラブル) に収録

ある時はアコギギターを爪弾きながら、ボソッボソッとひとり言のように歌い、またある時はザ・フーのピート・タウンゼントやジミ・ヘンドリックスが使用していたフィードバック奏法を、デビュー間もない1970年ころにアコギギターで行い、LIVE会場に爆音を響かせたりとフォークでパンクなロックンローラー遠藤賢司、愛称「エンケン」。

彼の4枚目のアルバム「KENJI」に収録されている「星空のワルツ」は、井上陽水の楽曲アレンジなどで知られる星勝のストリングスアレンジがロマンティックな香りを醸し出し、澄み切った夜空を感じさせる名曲となっている。曲の最後 “ふるえる君は 僕のうでの中で ほら星になったよ” と歌うが、人は死ぬと“星”になるという伝説がある。今ではエンケンさんも彼女の後を追い“星”になってしまったが、広い宇宙で彼女と一緒にワルツを踊ってるのかな?
“星” 繋がりでもう一曲、あがた森魚の「星のふる郷」。

この曲は出だしからもうアキません。アコギギターのアルペジオがフェイドインするや、泣け!とばかりにヴァイオリンの物悲しい音色が重なり、開始数秒で目頭が熱くなります。どこかの田舎の小高い丘の上、来ない彼女を待ちながら “涙にじませ夜空見上げれば そこにはゆれる星座群” “下界の街を見下ろせば さびしくネオンがひとつ ゆらゆらと” 天空の美しさと下界の静寂を対比させながら “それよりあなたへの恋文そっと認めましょうか” と迷走する主人公。そして、アンデルセン童話の「マッチ売りの少女」が灯すマッチ一本の幸せの灯りを、街のひとつのネオンと重ね合わせ  “あの娘 どこの娘 おさげ髪 あんなに長い影法師 せめてマッチで夢灯し 寒い心も暖まれ” と歌う怒涛の泣きのクライマックス。曲が終わるときにはティッシュの山が……!ということで、「星の降る郷」とも「星の故郷」ともとれる、泣きの名曲「星のふる郷」を紹介させていただきました。

追記: 中学校や高校の音楽の教科書にはビートルズの<yesuteday >や<Hey Jude >などが入っているそうだ。ならば言いたい!「あがた森魚の曲を、道徳の授業中に皆で聞いて、感想なり意見なりを討論しなさい」と!あがた森魚の作品を《聴く》ことにより “男女の愛情”  “親子の愛情” とか “慈悲の心”  といった人には不可欠な “根源的愛” を聴覚を通して潜在意識のなかに深く彫り込むことができるであろう。結果、“いじめ” や ”子供の虐待” が減少する……かな?

Follow me!